医院経営コンサルティング・経営改善支援|大阪・神戸・京都

医院/歯科医院/病院の経営相談・コーチング・コンサルティングを行うMASパートナーズ代表 原聡彦が、日々の経営相談・コーチング・コンサルティング活動を通じて経営の現場から「学んだ事」や「気づいた事」を綴ります。

クリニック経営改善事例~ドクターズクラークがクリニックの診療を変える!~

ご支援先の院長先生より、電子カルテを効率的に活用するためのアイデアを求められるケースが多くあります。院長が診察をしながら電子カルテ入力をするのは、至難の業で、どうしても、患者さんの顔を見ないで電子カルテの画面を見て診察してしまうので患者さんとのコミュニケーションが少なくなり患者さんの満足度が低くなる傾向にあるようです。今回は電子カルテを効率的に活用しているクリニックの事例をお伝えします。

<クリニックに配置されるドクターズクラーク>
私どものご支援先の整形外科クリニックですが、診察室にドクターズクラークが配置されています。 読者の皆さんはドクターズクラークという職種はご存知ですか(クリニックによってはシュライバーと呼ばれています)?

ドクターズクラークとは、医師事務作業補助者といわれる業務を担当します。
院長の電子カルテ入力作業を助け、診察がスムースに行われるように、院長のとなりで、カルテに向かって座って仕事をしています。入院施設をもつ病院の外来や病棟で配置されていることもありますが、クリニックレベルでの配置はまだ少ないと思います。

開業医は院長一人でその業務範囲は膨大です。そこで、ドクターズクラークは、少しでも診察中の院長の事務作業を減らし、カルテに向かう時間を少なくすることで、患者さんとの対話の時間を増やす、事務作業がスムースに流れることで、患者さんの待ち時間を減らすことが役割です。

<ドクターズクラークの人選方法>
ドクターズクラークの人選は、まず、キーボード入力が一定の早さで行える者、治療の流れをある程度理解している者、院長の動きに自分の動きを合わせていきたいと考える者といった視点で考えます。例えば、診療助手として、院長、看護師の業務をそばでいつもみる機会が多いスタッフや、医療機関の勤務経験をもち、人の動きの先を読む力のあるスタッフを選ぶといいでしょう。

<ドクターズクラーク養成研修>
弊社がサポートしているクリニックでは、そのクリニックの外来で症例数の多い疾患のパンフレットを読み合わせて理解してもらい、電子カルテの医師篇のマニュアルをイチカラ、カルテを触りながら読み進めていくといった研修を毎週行いました。
ただ、このクリニックではこの研修や役割の重みを感じ、突然、退職するスタッフもいて、ドクターズクラークのデビューまでにはたいへんな道のりでしたが、研修期間3カ月でデビュー実現しました。

<ドクターズクラーク導入の効果>
紹介状をはじめ文書関係の処理の速度や初診や初再診患者さんの所見作成にかかる速度の効率化、病名の管理やコストのダブルチェックといった点で、院長の業務をサポートし、患者さんへの待ち時間、満足度などに対しての成果もでていると感じます。
また、ドクターズクラークがデビュー前に期待していなかった効果の一つとして意外だったのは、看護師からの声です。

ドクターズクラークは基本的に院長の診察にピッタリついていますから、看護師は処置やその準備などで診察室を離れても、その間の指示をドクターズクラークに確認できるので院長に同じ指示を何度もだしてもらわなくてすむということが、看護師を楽にするのだということでした。

そして、今では院長も「ドクターズクラークのいない診察は考えられない」とドクターズクラークの価値を十二分に感じておられているようです。

フォローの一環として、ドクターズクラークミーティングを月に一度行い、業務上での困り事や、業務効率を上げる便利な機能などを共有し、ドクターズクラークから院長へ直接伝えにくい要望は、コンサルタントが伝えたり、内容によっては直接伝えられる場面を作ったりして、「仕組み」で解決できることは「仕組み」を変えたりして工夫しています。

今後、クリニックでドクターズクラークが活躍できる場をもっと作っていきたいと思いますし、ドクターズクラークという職種の価値を世の中に広めていきたいと考えています。

最後までお読み頂きありがとうございます。感謝!

2013年4月14日

 

クリニックで今すぐ使える!接遇セミナーを開催しました!

2012年11月18日(日)弊社主催で「クリニックで今すぐ使える!接遇セミナー」~院長・スタッフ・患者さんとのコミュニケーションを改善できる~を開催しました。

6名の方にご参加を頂き、ロープレ、ワークショップありの参加型の勉強会でやらせて頂きました。

講師は、永野整形外科クリニック(奈良県 香芝市)の事務長 永野光様と受付リーダー 萩原道子様を講師に迎え、クリニックの現場で実践してきた接遇ノウハウと教育システムを公開して頂きました。

<セミナー内容のダイジェスト>

☆多くのクリニックが接遇研修などに取り組んでいるが、現場で生かされていないのは、個人のスキルに依存しすぎている。個人のスキルに依存すると、チーム力が高まらない。

☆個人レベルではなくチームレベルでクリニックの接遇力を高める事によって、患者さんにとって快適なクリニックとなりスタッフにとっては働きやすい職場となり院長にとっては誇りに思えるクリニックとなる。

☆チームレベルでクリニックの接遇力を高めるためには、「スタッフ間コミュニケーション」「院長とのコミュニケーション」「患者さんとのコミュニケーション」 3方向のコミュニケーションを高める事がポイントとなる。

☆新人さんの加入にどう対応していますか?新人さんを早期戦力化するための考え方。仕事の出来栄えを見極める「業務日誌」を活用する。

☆専門職と事務職はよい関係を築いていくための仕組みを作る。

☆スタッフ同士、仕事の中で声かけのできるイベント、ミーティングをつくる。

☆笑顔の大切さ。笑顔は人種・民族を問わず、「戦わない、敵意をもたない」という意味をもっています。それから「好意をもっている」や「歓迎している」の意味をもち、更には、「安心」「承認」「感謝」「安らぎ」などの意味もあります。要は、人間関係を、安全でプラスにつなぐ方向で役立ってくれます。

今回のセミナー内容は、ウルトラCの秘策ではなく、日々、当たり前の事を積みあげ、クリニックの雰囲気や風土にあったやり方で仕組み化し習慣になるまでやり続ける事に、チームレベルで接遇力を高めることができると改めて感じました。

ぜひ、スタッフの接遇レベルを向上させたい院長先生、奥様は、クリニックの雰囲気や風土にあったやり方を見つけて頂きたいと思います。

セミナー内容や接遇教育について、詳しくお知りになりたい方やご相談されたい方はご連絡ください(今回の講師にもご相談頂けます)。

最後までお読み頂きありがとうございます。感謝!

2012年12月17日

 

MS法人の運営ポイント part3 MS法人の運営状況を観察する3つの着眼点

MS法人の運営ポイント part3 MS法人の運営状況を観察する3つの着眼点をまとめました。ご参考にして頂ければ幸いです。

ポイント1:キャッシュフローが悪くなるケースもある
医療機関経営の業績が悪い場合はMS法人へ移転させる資金がなく資金繰りが厳しくなるケースがあります。また、消費税の納税義務者となる場合が多く、医療機関とMS法人を一つのグループで捉えると消費税分がキャッシュアウトして所得分散効果が少なるケースがあります。医療機関とMS法人を一つのグループと捉えキャッシュフローを確認頂く事をお勧めします。

ポイント2:医療機関との取引の妥当性を問われる
医療機関とMS法人の取引は同族間の取引なのでお手盛りになるケースがあります。根拠なく取引金額を上げたり下げたりするのは後々、税務調査で問題となる可能性もありますので第三者の会社と取引する際の価格をベースに相場を逸脱しない範囲で取引金額を決定頂くことをお勧めします。また、取引金額の計算根拠や契約書など物的証拠(エビデンス)をしっかり残し税務調査の際に備えて頂きたいと思います。下記の☑項目を確認してください。

☑医療機関との取引されている契約の金額に根拠はあるのか?
☑MS法人の人的サービスについて人材派遣契約と業務請負契約の区別ができているか?
☑MS法人からリースされている物件とリース料の管理はされているか?
☑契約書作成の有無確認と印紙の貼付はされているか?
☑税務調査に耐え得る運営がされているか?

ポイント3:税理士、会計事務所などの専門家の仕事を牽制し管理する。
MS法人の決算業務など運営全般を税理士、会計事務所に依頼されている開業医の先生方は多いと思いますが、任せて専門家の仕事の内容を管理していないというケースが多いように思います。

上記ポイント1,2ができているのか?ぜひ、定期的にご確認頂くことをお勧めします。

以上です。MS法人の運営は節税を目的とするのではなく手段として用い、クリニックの実状にあった目的を実現させるための法人であることを明確に位置付けてMS法人を運営して頂きたいと思います。

MS法人の運営について疑問点、問題点を明確に知りたい方はお問い合わせください。

http://maspartners.co.jp/contact

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2012年11月4日

 

MS法人(メディカルサービス法人)の運営ポイント part2 「MS法人の事業分野」

前回に引き続き、MS法人の運営ポイントpart2「MS法人の事業分野」についてお伝えします。MS法人は医療法人のように事業制約はありませんが、MS法人の事業分野はおおむね次の4つに分類されます。

①    医療関連事業

クリニックの院長がMS法人に業務を外注することにより利益をクリニックからMS法人へ移転させ所得分散が可能とさせます。特に医療法人の場合は、医療法第54条で配当を禁止されていますのでMS法人へ利益を移転させ、少人数私募債など、効果的な節税を実現させています。代表的な取引は受付窓口・経理業務、レセプト業務、清掃業務など業務請負契約や医療機器などの資産の貸付(リース業務)です。

②    不動産賃貸管理事業

これまでの多くのケースはクリニックの利益をMS法人へ移転させるためにクリニックの建物をMS法人が所有しクリニックへ賃貸しているケースが主な取引でありました。最近では、マンション経営やサービス付高齢者向け住宅を所有し第三者に不動産賃貸事業を行うMS法人も増えています。

③    独自事業

院長夫人が美容関連事業、翻訳事業など得意分野を事業化しているMS法人もあります。また、業績の良い医療法人の院長が経営コンサルタントや講演や研修を自主開催して講演研修活動を事業としているMS法人もあります。医療以外の独自事業は院長ファミリーの所得安定化にもつながりますので、独自事業をつくって頂く事をお勧めしています。

④    個人の相続対策と財産運用

個人で所有している有価証券、不動産をMS法人で所有移転させ、相続の対策を実施しているMS法人もあります。独自事業で利益をあげることができれば少人数私募債など個人財産をMS法人で運用することも可能になります。また、逆にバブル期に購入した株式、会員権などを売却して含み損失を確定させれば節税も可能です。

以上、私どもが考えているMS法人の事業分野です。MS法人の事業分野を選択する際の参考として頂ければ幸いです。

最後までお読み頂きありがとうございます。感謝!

2012年11月3日