医院経営コンサルティング・経営改善支援|大阪・神戸・京都

新人スタッフを早期戦力化させるためのノウハウ事例

<正しい仕事の進め方を伝える>
私どもがクライアント様の新入職者に伝えている入職時のオリエンテーションの内容です。下記のような社会人としては当たり前のことをお伝えしております。当たり前のことですが院長が考える「当たり前の事」とスタッフが考える「当たり前の事」には認識のギャップがあることが多いのでクリニック内で「当たり前の事」を定義化させ同じ物差しを持って頂く事は重要なポイントです。ぜひ、入職時に説明して頂くことをお勧め致します。
1.指示の受け方
 ⇒呼ばれたらすぐに「ハイ」と返事。顔を指示した人の方に向ける。
 ⇒最後に指示内容を復唱して確認をする。

2.報告連絡相談
 ⇒結論から先に述べる。
 ⇒ミスをしたらすぐに報告する。

3.注意の受け方
 ⇒まず「申し訳ございませんでした」と伝える。
 ⇒ふてくされない。泣かない。自分の失敗を認める。

<教わり上手になるためにやるべきこと>
私どものクライアント様が実践している事例をお伝え致します。
1.挨拶と感謝を先手必勝で伝えること
挨拶は先手必勝です。新人スタッフは先輩より先に挨拶をするよう指導しましょう。
また、「おはようございます。」「お先に失礼します。」だけでなく「よろしくお願いします。」や、「今日もありがとうございました。」など感謝を言葉で伝えることがポイントです(心で思っていても伝わりません)。

2.注意、指導を受けた事はすぐ行動にすること
例えば、電子カルテで新患登録の操作を習うとすると習った直後の新患登録を
「やってみてもよいですか?」と積極的に意欲を示し、すぐ行動することです。このような行動が先輩からすると、教えがいのある人となり、仕事の習熟度も「見える化」することができます。たとえ、仕事が間違っていたとしても、訂正を早い段階でできるので、教える側としては、習熟度を把握できるので指導のやり方も検討できます。

3.失敗したら謝ること
「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えることは、子どもだけでなく、社会で働く大人にとっても重要です。

新人さんが入職して最初の1カ月は上記1~3ができているかを確認して頂きたいと思います。スキルより教わり上手になることに徹してもらうよう指導頂くことをお勧め致します。

<教わり上手になるためにやってはいけない事>
弊社の優秀なクライアント様のクリニックでは教わり上手になるために「やるべき事」と「やってはいけない事」をセットで伝えて成果を出しておられます。

1.仲良くしようとしすぎない
まだ、知り合ったばかりで人となりがよくわからない段階で、家族事情などプライベートの事はつっこんで聞かないようにする。少しずつ、距離が縮まるのが理想です。

2.納得のいかない顔
一生懸命指導する先輩スタッフからすると、納得のいかない顔はたまりません。納得がいかないときは顔に出して口にださないことがよくありますが納得のいかない顔をする前に質問するように指導して頂きたいと思います。

3.うそをつかない(ミスをなかったことにしない)
失敗は、ありのままを必ず報告をする。

クリニックは女性の多い職場で女性特有の難しい人間関係も存在していますが新人が教わり上手になれば、それだけでクリニックの雰囲気は良くなるように思います。ぜひ、上記の教わり上手になるための「やるべきこと」「やってはいけないこと」を新人スタッフにお伝えして頂く事からはじめて頂きたいと思います。最後までお読み頂きありがとうございます。

2016年9月9日

 

クリニックにおける看護師の育成事例

クライアントの院長先生から「昨年、苦労して採用した看護師が1カ月未満に相次いで退職してしまった。」「新人ナースが思うように育たない」という看護師の育成についてのご相談をたくさん頂いております。そこで、今回は看護師の育成に熱心に取り組んでいる弊社クライアントの事例をお伝え致します。

1. 退職するスタッフの意見を集める
弊社のクライアントの大阪府の整形外科クリニック様では、退職するスタッフから職場の働きにくいところや先輩の指導方法について意見・考えを集めた結果、退職するスタッフの意見は下記のとおりとなりました。
<退職するスタッフの意見まとめ>
・指示だしが速すぎるし仕事を急かれるので、これまでできたことができなくなった。
・看護師の業務範囲が広すぎてレベルについていけない。これまでの経験を生かせない。
・聞きにくい雰囲気があり常に先輩方の顔色を見ながら仕事をするのは嫌だ。

  院長や指導した先輩の看護師からすると、クリニックの業務のやり方などスキルを伝えて看護師として早く仕事に慣れてもらうために指導してきたつもりでした。しかしながら、教えられる側からすると、スキルより心の不安のほうが大きいという事が上記の意見より把握することができました。

2. 心へのアプローチ
退職するスタッフの意見の中には院長及び指導した看護師にとってはとてもショックで耳の痛い意見もありましたが今後の看護師の育成の貴重な意見として捉えて新人看護師への心のアプローチをいかに実践するかを考えました。以下、実践した内容です。

①日々の声かけ
このクリニックでのスタッフ同士の声かけは「名前を呼ぶ+言葉がけ」と定義しています。例えば、出勤時は「〇〇さん、おはようございます」という事を声かけとしています。

②業務日誌を通じてコミュニケーション
新人看護師には1カ月間、業務日誌を書いて頂いています。この日誌には必ず指導看護師、新人看護師に関わる管理者が業務に関する悩みや不安を和らげるような励ましの言葉を書く事になっています。

③担当業務をもつ
このクリニックでは薬品や松葉づえなどの在庫管理、疾患パンフレットの管理を看護師の担当業務としております。入職後1週間で担当業務を受け持ってもらってクリニックでの役割を担ってもらいます。最初は先輩看護師と一緒に取り組むことでコミュニケーションをたくさん持つ事ができるので教える看護師、教えられる看護師の関係性が良好となりました。

④個別ミーティング
上記②の日誌の情報をもとに新人看護師の業務に関する不安、悩みに個別で対応するミーティングを行います。このクリニックでは入職後1週間~2週間は頻繁に個別ミーティングを行い新人看護師との信頼関係を構築しています。

⑤ナースミーティング
このミーティングでは月2回程度、看護師全員が集まって、院長の要望事項、診療プロセスの確認、業務上の不具合、困っている事などを情報共有しています。また、新人が苦手とする看護技術の習得に向けての全体研修を院長かリーダー看護師が全員に向けて技術指導を行います。

上記のアプローチを実践し続けた結果、新人スタッフから聞きにくい雰囲気という意見も少なくなりました。技術と心の不安も随時、解消できるようなコミュニケーションの機会を増やした結果、このクリニックでは1カ月未満の離職率は低くなりました。

やっとのことで採用した看護師に長く勤務してもらうために、自院で実践できる看護師を育成するシステムをご検討頂く事をお勧め致します。

「新人看護師が育たない。」「苦労して採用した看護師が1~3カ月いないで相次いで退職してしまう。」「看護部に一体感がない。」など自院の貴重な看護スタッフにお悩みのクリニックの院長、院長夫人はご相談ください。

2016年8月11日

 

院長のための人事マネジメント~ストーリーを語ること~

「なんで同じ日本人に日本語を話しているのに言葉が通じないだろう!?動かないのだろう!?」とスタッフとのコミュニケーションで悩む院長の声をたくさん聴きます。

人を動かす立場の人は立場上の違いを認め、それぞれの世代や背景に合った「コミュニケーション」をしていかなければなりません。今回は人を動かすためのコミュニケーションのひとつとして、「ストーリーを語ること」のメリットや基本的な作り方についてお伝えします。
1. ストーリーがもたらすメリット
メリットは大きく分けて3つあると考えております。
メリット1:聞き手が防衛反応や抵抗感を起こしにくく、受け入れやすい。
ストーリーは、相手に対してある「考え」を一方的に押しつけたり、強いることは基本的にありません。そのストーリーを聞いて聞き手がどのような「解釈」をするかは自由です。だからこそ、聞き手は身構えることなく、安心して聞くことができるわけです。

メリット2:話し手のストーリーを聞き手が疑似体験できるため共感できる。
 私たちは優れたストーリーを見たり、聞いているときには、その物語のなかに入り込み、主人公と同じ体験(疑似体験)をしています。そして、涙を流したり、笑ったり、喜んだりして、同じ感情を共有するわけです。この状態を「共感」と呼びます。

メリット3:単なる事実やデータと違い、記憶に残りやすい。
 記憶との関連です。突然ですが皆さんに以下の二つの質問をさせて頂きます。
質問1:昨年の日本のGDPの成長率は?
質問2:人生で初めてデートした相手の名前は?

いかがでしょうか?どちらもすぐに答えられるでしょうか?
何をお伝えしたいかというと、質問1はデータや数字についての質問であり、関心があったり仕事と深いかかわりがある数字であれば答えられると思いますが、多くの場合、新聞やニュースで見たり聞いたりしていても覚えているのは一時的で長期的な記憶には残りにくいと思います。一方、質問2の質問はおそらく答えられる方が大半だと思います。
 なぜかというと、初めてのデートというのは、ドキドキして、嬉しく、楽しく、私たちの感情が動く経験だからです。脳の仕組み上、感情が強く揺り動かされた経験というのは、優先的に脳が記憶しておいてくれるという自動装置になっています。
 感情を揺さぶる「ストーリー」を見たり聞いたりしたときには私たちの記憶に長くとどまることが可能なのです。
では、聞き手の感情を揺さぶるストーリーはどのように作ればいいのか?ストーリーの組み立て方をお伝えしたいと思います。

2. ストーリーの組み立て方
ストーリーについて下記のような定義づけを行っています。
 「ストーリーとはある主人公の経験、および、その経験が主人公や周囲に与えた影響や意味づけ・意義を含めて、その一連の流れを時系列で描いたもの」と定義しています。

 ハリウッドの映画であれ、おとぎ話であれ、組織の創業者の汗と涙のストーリーであれ、ストーリーの「基本の組み立て」は下記のようになっています。

<ストーリーの基本の組み立て>
 STEP1 現状:主人公が置かれている現状 
             ↓
 STEP2 事件:主人公の身になんらかの事件や困難がふりかかる
             ↓
 STEP3 危機:バランスを失い、現状のままではいられなくなる
             ↓
 STEP4 選択:葛藤のなかで主人公が望む方向に向かって選択・決断をして行動を起こす
             ↓
 STEP5 解決:何らかの変化や方向転換が起こり、結論に至る

現代の名経営者の一人として有名なジャック・ウェルチ氏は「あなたの最大の特徴は何ですか?」と問われ、「私はストーリーを伝える方法を知っているだけのこと」と答えています。名経営者であればあるほど、「ストーリー」の重要性を深く理解しており、ストーリーを語ること」を最大の武器にしていることがうかがえる言葉です。

組織で語られるストーリーは明確な「教育的見地」を持って語られます。言い換えると、スタッフに「こういう行動をとってほしい」「こういう理念を理解してほしい」「この経験から、こういうことを学んでほしい」という意図が明確にあります。そこに誰もが理解しやすく、イメージがわくような「ストーリー」を介在させることで共感を喚起します。共感は浸透のスピードを速めます。ストーリーはメンバーの意識や行動に変化を起こすための「触媒」の役割を果たしているのです。
強い組織のリーダーは例外なくストーリーを語る達人です。組織が経験してきた成功と挫折の物語、あるいは、自分の生々しい経験を語ります。そして、そのストーリーを通して、なぜその理念・価値観が大事なのかということを伝えます。ぜひ、クリニックのリーダーとして想いのこもったストーリーをスタッフに語る事にチャレンジして頂きたいと思います。

2016年1月25日

 

院長夫人コーチング クライアント様の実践事例~スタッフ教育のすすめ~

「最近のスタッフは常識がない!普通の対応ができない!」などスタッフの常識レベルに疑問を持つ院長先生、院長夫人の声をよく耳にします。このような声をお伺いした時に私は必ず「フツウという自分基準な思い込みを持っていませんか?」と質問させて頂きます。

今回は私どもの院長夫人コーチングのクライアントでクリニック経営のマネジメントに真剣に取り組んでいる院長夫人が実践している「スタッフ教育のすすめ」をお届け致します。

読者のみなさまのクリニックには雇ってびっくり、あっとおどろく言葉遣いや、態度のスタッフはおられませんでしょうか?また、入職後、ずいぶんたつのに、ある時、このこと知らなかったのー?!となるスタッフはいかがでしょう?

言葉遣いや態度は良好な人間関係を構築していく上で、重要なポイントとなることは言うまでもありません。だから、どうしてもそこがかみ合わないスタッフは遠ざけてしまいがちです。結果、叱咤激励の機会もコミュニケーションの機会もへらしてしまうことになります。

そこで、心においておこうと経験からおもうことが、『自分の口で伝えていないこと、教えていないことがわかっていないからといって、不満をもたない』ということです。
多くの院長先生やご夫人、時にはリーダーとなっている方も、なぜ日本語から教えなければいけないのか、家庭教育や学校教育はどうなったのかと嘆かれることと思います。
医療機関独特のことは教えても、あいさつから?!敬語から!?そこから!?うそでしょ!!!というご意見も当然と拝察します。

しかし、教えていないことを「こんな場合はふつう、こうするとかこう言う」という自分基準な思い込みは、あとでうんざりする結果となりがちです。教えずに、通り過ぎたスタッフは、必ずと言ってよいほどボタンを掛け違えた関係性となり、退職を申し出られることが私の経験上は多いように思います。これでは、お互いがどれほど時間を無駄にするかしれません。

言わなくてもできてほしい!スタッフに指導はおまかせといった院長先生も少なくありません(お気持ちはよくわかりますが・・・)。これからの経営者に求められる事はお給料を払って学ばせる。医療機関も含め、企業は今やOJTを行なう教育機関でもあるのだと心得た方がよさそうです。

「フツウ」というこちらの基準でものを考えていても時間をムダにするばかりです。
雇用側は、給与を支払うだけでなく、教育指導するという責任も果たすことが大切です。
そして、教えていないことができるかどうかではなく、教育したことができるかどうかの結果に対する評価をする必要があると思います(教えなくてもできるスタッフもいます。でも、稀です)。
教育に力をいれることによって、思わぬ成長を遂げてくれるスタッフに出会うことができますし、スタッフとの関わりを増やすことで、スタッフ側の思いも知ることになり、そんなスタッフにこちらが育てられていきます。

でも、不思議と教育を丁寧にしていて後悔することはないのです。それは、残念な思いをすることがあっても、残って頑張ってくれるスタッフの成長があり、またそのことによって少し練られた自分が感じられるからだと思います。

「スタッフの教育」について読者の皆様のクリニックに合う教育のやり方を考えて頂き実践して頂きたいと思います。最後までお読み頂きありがとうございます。感謝!

2014年4月17日