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短時間通所リハビリテーション開設について

1.要介護被保険者の維持期リハビリの介護保険への完全移行
「要介護被保険者の維持期リハビリの介護保険への完全移行」は2018年度末まで延期は確定的となりました。運動器リハビリテーションの施設基準をもつ整形外科クリニックでは今から1年3カ月ぐらいの間で介護保険(通所リハビリ・訪問リハビリ)を実施できる体制を作る必要があります。今回は、診療所の短時間通所リハビリテーションの開設方法をお伝え致します。

2.みなし指定とは?
健康保険法の保険医療機関・保険薬局(以下「保険医療機関等」といいます。)に指定された医療機関・薬局は、介護保険法による医療系サービスの事業者として、指定をされたものとみなされます。これを「みなし指定」といいます。みなし指定の対象となる医療系居宅・介護予防サービスは、次のとおりです。
<みなし指定となる介護サービス>
 (介護・予防)居宅療養管理指導     (介護・予防)訪問看護 
(介護・予防)訪問リハビリテーション (介護・予防)通所リハビリテーション 

3.みなし指定の通所リハビリテーション開設について
介護保険法が改正された平成21年4月以降に保険医療機関の指定を受けた病院・診療所については、特段の申し出のない限り、通所リハビリテーション事業所及び介護予防通所リハビリテーション事業所の指定を受けたものとみなされています。例えば、兵庫県では平成21年3月以前に県民局長による介護保険法上の事業者指定を受けた通所リハビリテーション事業所・介護予防通所リハビリテーション事業所については、当該指定は更新期間満了まで有効であり、更新の際に医療みなしに切り替えることとなります。
平成21年3月以前に保険医療機関の指定を受けた病院・診療所について新たに通所リハビリテーション事業所及び介護予防通所リハビリテーション事業所の指定を受けようとする場合は、知事にその旨届け出る必要があるので注意が必要です。また、事業所規模及び加算の算定を受けようとする場合は、あらかじめ管轄部署に届けなければならない。
みなし指定であってもサービス提供を行うにあたり、人員基準、設備基準、運営基準等を満たす必要があるので各都道府県の管轄部署に確認して頂く事をお勧め致します。 
通所リハビリテーションの開設自体は申請書類も少ないので人員基準が満たせれば開設は可能です。

4.通所リハビリテーションの人員基準とは?
通所リハビリテーションは、医療系の介護サービスであり、医師の指示の下で行われます。
そのため、介護老人保健施設、病院、診療所のみが運営することが可能です。人員基準において規模によって医師や従事者の配置数の違いがあります。今回は診療所の人員基準に絞って解説致します。
5.診療所が開設する通所リハビリテーションの人員基準
① 医師の配置について
☆利用者の数が同時に10人を超える場合
専任の常勤医師が1名以上勤務していなければいけません。

☆利用者の数が同時に10人以下の場合
専任の医師が1名勤務していなければいけません。
また、利用者数は専任の医師1人に対して48人以下でなければいけません。

② 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、介護職員(以下:従事者)の配置について
☆リハビリ単位ごとに、利用者の数が10人以下の場合
サービス提供時間を通じて、専属で通所リハビリテーションに関わる従事者を1名以上確保しなければいけません。

☆リハビリ単位ごとに利用者の数が10名を超える場合
サービス提供時間を通じて、利用者の数を10で割った数の専属で通所リハビリテーションに関わる従事者 が必要になります。

さらに☆で求めた人員配置数の中でサービス提供時間に専属で通所リハビリテーションに関わる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または、通所リハビリテーションもしくはこれに類するサービスに1年以上従事した経験を持つ看護師を、常勤換算法で0.1人以上確保されていなければいけません。また、利用者の数は専従する従業員1人に対して1単位10名以下とし、1 日2単位を限度としなければなりません。ただし、1~2時間の短時間のリハビリは、0.5単位とみなします。

6.通所リハビリテーションの人員基準を満たす際の注意点
通所リハビリテーションの人員基準では、上記のように細かい人員配置が決まっているので人員配置不足による人員基準違反が起こりやすいことが注意点です。また、1日の利用者数も留意しておきましょう。特に診療所では、医師の数により利用者数が決まっているため注意が必要です。人員基準を満たしていないことが発覚した場合には、事業者指定を取り消されてしまう恐れがあります。
各都道府県が独自に事業者へ提供している通所リハビリテーション運営チェックリストなどを活用して人員基準の違反を起こしていないかを確認頂くことをお勧め致します。

2018年3月7日