MS法人の運営ポイント part3 MS法人の運営状況を観察する3つの着眼点をまとめました。ご参考にして頂ければ幸いです。
ポイント1:キャッシュフローが悪くなるケースもある
医療機関経営の業績が悪い場合はMS法人へ移転させる資金がなく資金繰りが厳しくなるケースがあります。また、消費税の納税義務者となる場合が多く、医療機関とMS法人を一つのグループで捉えると消費税分がキャッシュアウトして所得分散効果が少なるケースがあります。医療機関とMS法人を一つのグループと捉えキャッシュフローを確認頂く事をお勧めします。
ポイント2:医療機関との取引の妥当性を問われる
医療機関とMS法人の取引は同族間の取引なのでお手盛りになるケースがあります。根拠なく取引金額を上げたり下げたりするのは後々、税務調査で問題となる可能性もありますので第三者の会社と取引する際の価格をベースに相場を逸脱しない範囲で取引金額を決定頂くことをお勧めします。また、取引金額の計算根拠や契約書など物的証拠(エビデンス)をしっかり残し税務調査の際に備えて頂きたいと思います。下記の☑項目を確認してください。
☑医療機関との取引されている契約の金額に根拠はあるのか?
☑MS法人の人的サービスについて人材派遣契約と業務請負契約の区別ができているか?
☑MS法人からリースされている物件とリース料の管理はされているか?
☑契約書作成の有無確認と印紙の貼付はされているか?
☑税務調査に耐え得る運営がされているか?
ポイント3:税理士、会計事務所などの専門家の仕事を牽制し管理する。
MS法人の決算業務など運営全般を税理士、会計事務所に依頼されている開業医の先生方は多いと思いますが、任せて専門家の仕事の内容を管理していないというケースが多いように思います。
上記ポイント1,2ができているのか?ぜひ、定期的にご確認頂くことをお勧めします。
以上です。MS法人の運営は節税を目的とするのではなく手段として用い、クリニックの実状にあった目的を実現させるための法人であることを明確に位置付けてMS法人を運営して頂きたいと思います。
MS法人の運営について疑問点、問題点を明確に知りたい方はお問い合わせください。
http://maspartners.co.jp/contact
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2012年11月4日
前回に引き続き、MS法人の運営ポイントpart2「MS法人の事業分野」についてお伝えします。MS法人は医療法人のように事業制約はありませんが、MS法人の事業分野はおおむね次の4つに分類されます。
① 医療関連事業
クリニックの院長がMS法人に業務を外注することにより利益をクリニックからMS法人へ移転させ所得分散が可能とさせます。特に医療法人の場合は、医療法第54条で配当を禁止されていますのでMS法人へ利益を移転させ、少人数私募債など、効果的な節税を実現させています。代表的な取引は受付窓口・経理業務、レセプト業務、清掃業務など業務請負契約や医療機器などの資産の貸付(リース業務)です。
② 不動産賃貸管理事業
これまでの多くのケースはクリニックの利益をMS法人へ移転させるためにクリニックの建物をMS法人が所有しクリニックへ賃貸しているケースが主な取引でありました。最近では、マンション経営やサービス付高齢者向け住宅を所有し第三者に不動産賃貸事業を行うMS法人も増えています。
③ 独自事業
院長夫人が美容関連事業、翻訳事業など得意分野を事業化しているMS法人もあります。また、業績の良い医療法人の院長が経営コンサルタントや講演や研修を自主開催して講演研修活動を事業としているMS法人もあります。医療以外の独自事業は院長ファミリーの所得安定化にもつながりますので、独自事業をつくって頂く事をお勧めしています。
④ 個人の相続対策と財産運用
個人で所有している有価証券、不動産をMS法人で所有移転させ、相続の対策を実施しているMS法人もあります。独自事業で利益をあげることができれば少人数私募債など個人財産をMS法人で運用することも可能になります。また、逆にバブル期に購入した株式、会員権などを売却して含み損失を確定させれば節税も可能です。
以上、私どもが考えているMS法人の事業分野です。MS法人の事業分野を選択する際の参考として頂ければ幸いです。
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2012年11月3日
高額所得者の大増税時代をむかえクリニックの院長先生からMS法人の活用についてご相談を頂く機会が増えております。
今回より全3回シリーズでMS法人についてお伝えしたいと思います。
第1回目はMS法人とはどのような法人なのか?どんな目的で運営するべきなのか?私のこれまでの経験をもとにお伝えしたいと思います。
☑MS法人とは?
MS法人とはメディカル・サービス法人の略称です。名前が示すとおり病院やクリニックの医療関連業務や周辺業務を行う目的で設立される会社です。例えば、医療機関との間で医療機器のリース取引、医療機関に不動産を賃貸借契約、受付事務の業務請負契約などの取引が行われています。
☑MS法人の目的は? ポイントは節税を主目的としたものではなく節税を手段として次の三つの目的を実現させるための法人ですのでご注意ください。
① 医療の純粋性の確立
「診療と管理の分離」を志向しクリニックの院長にできるだけ診療に専念できる 環境を整えることを目的とします。
② 医療の継承性を確立
経過措置型の医療法人(出資持分ありの医療法人)に限り出資持分は株式と同じ扱いで時価評価されるので相続財産となり、継承の際、納税負担に苦慮します。そこで医療法人に留保される利益を合理的な経済取引でMS法人へ利益移転させ継承をスムーズにする目的でMS法人が活用されます。
③ 老後生活の安定性
MS法人は株式会社や有限会社、合同会社など一般の会社の形態が多いので医療法人のように事業の制約を受ける事もなく事業を展開でき、クリニック引退後、MS法人の代表となって役員報酬を受け、引退時には退職金を支給する事もでき老後資金に充てる事もできます。また、不動産を多くお持ちの院長は個人からMS法人へ所有を移転させ相続対策にも活用している事例は多くあります。
今回はここまで。次回はMS法人の事業分野についてお伝えします。最後までお読み頂きありがとうございます。感謝!
2012年11月2日