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スタッフの仕事のやり方を改革した事例

弊社がサポートしたクリニックで受付・事務スタッフの仕事のやり方を改革した事例をお伝え致します。

1.経営診断から明らかになったこと
私どもがスタッフからのインタビューや経営診断した結果、次のような事が明らかになった。

1)このクリニックの仕事のやり方は人に仕事が張り付いていた。その人がいなければ「わからない」「できない」「指示されない」状態になっていた。
2)その人にしかわからない仕事だから「やり方が我流」で10年以上、この部門では業務改善を行えなかった。
3)業務がオープンにされていないから、生産性の高い仕事のやり方かどうか院長や事務長が「判断できない」「指導できない」状況になっていた。
4)やっていることは、記憶と経験という頭の中にあるので「ヌケ・モレ・手持ち」が発生し、そのチェックができない状況にあった。

以上のことが明らかになったため、院長の判断として院内の医療事務業務をすべてオープ
ン化し、標準化し、共有することによって「仕事に人を張り付ける」仕組みに業務の改革を
行いました。

2.「仕事に人を張り付ける」仕組みをつくるための取組み
業務改革を行うにあたり、次のような取り組みを実施致しました。

1) 業務の計画管理の習慣化
① 月間業務計画表・週間業務割当表を導入し仕事に人を張り付ける事を徹底する
② 業務を個人別に毎日に確認する(診察開始前に3分間ミーティングにて個人別の業務を確認する)

2) 業務の抜本的改革への取り組み
① 実現すべき成果は何かを鮮明にする(ゴール明示を徹底した)
② ゴール達成するために業務をすべてリストアップする(業務の棚卸し)
③ 業務のやり方の統一を行う(業務の標準化)

3.取組み成果
抵抗勢力があったものの業務改革を推進するという院長の固い意志がスタッフ一人ひとりに伝わり、上記の取組みを実行した結果、次の成果を得る事ができました。

① 業務割当表による仕事の明示と人の張り付け、標準時間の測定ができ、業務の標準時間を確立することができた。また、業務の遅れなどタイムリーに院長が把握することができるようになった。
② 仕事に人を張り付けることが可能となり業務を計画化することができて業務の精度も向上した。
③ いつも期限ぎりぎりで綱渡りのような仕事のやり方から脱却し計画的に仕事を行うようになった。

4.ゴールの鮮明化がすべての始まり
私は長年のコンサルタントの経験の中で組織のムードを一変させることができる院長に出会ってきました。そして、なぜ、この院長は組織のムードを一変させることができたのかを観察し研究しています。ほとんどすべての場合に共通していたことはスタッフひとりひとりに鮮明なゴールを明示していることに成功要因があることがわかりました。最初のうちは「目標管理を個人にきちんとやらせた成果」と認識しておりましたが、多くの事例を観察していくうちに、成功しているのは目標管理ではなくゴールの設定している院長ということに気づきました。スタッフ一人ひとりに与えるべき事は目標ではなくゴールであることを認識して頂くことがポイントです。ではゴールとは何か?それはほとんど目標と同じ意味なのですが、違う点は「まじめに努力すれば必ず到達できる地点」という事です。目標というのはまじめに努力したからといって必ず到達できるかどうかわからない。しかし、ゴールはほぼ確実に到達できる地点、または状態なのです。ただ、一人ひとりの能力の違うスタッフにゴールを明示するということはそんなに簡単なことではありません。正確にスタッフ一人ひとりの能力を把握することと、綿密な状況分析と業務遂行計画が必要とされます。しかし、スタッフと一人ひとりと時間をかけて話し合い、相互に確認し合いながらゴール設計をすれば十分可能なことでむずかしいことではありません。スタッフ一人ひとりと向き合うことがマネジメントの最重要課題と認識して取り組んでもらえればゴール明示は難しいことではなくなります。ぜひ、チャレンジして頂きたいと思います。最後までお読み頂きありがとうございます。

2018年3月9日