医院経営コンサルティング・経営改善支援|大阪・神戸・京都

ホーム > ブログ > 訪問診療の実務 ② 事務スタッフの活用・非常勤医師と訪問診療に取り組むポイント・マニュアル化でバラつきをなくす

訪問診療の実務 ② 事務スタッフの活用・非常勤医師と訪問診療に取り組むポイント・マニュアル化でバラつきをなくす

今回は訪問診療の効率アップとクレームの予防を行う「訪問診療における事務スタッフの活用」「複数の非常勤医師と訪問診療に取り組む際のポイント」「訪問診療をマニュアル化しバラつきをなくす」をお伝え致します。

1.事務スタッフの活用
 訪問診療に事務スタッフを同行させているクリニックも増えつつあります。事務スタッフの役割は医師や看護師が診療と処置に専念できるようなバックアップしています。具体例として、私どものクライアント様では訪問診療に同行する看護師の業務(下記①~⑦)の一部を事務スタッフへ移行させています。

<訪問診療に同行する看護師の業務>
①医師への情報提供(これまでの経過報告)
②患者様の状態確認
③採血などの処置及びカテーテル処置の補助
④残薬の確認
⑤時間の記録
⑥ケアマネ等の各関係機関への連絡調整
⑦入院手配 等

事務スタッフには当初、上記④⑤の業務を事務スタッフへ移行させ、業務に慣れた頃にプラスアルファの仕事として上記⑥⑦の業務を担ってくれるようになったおかげで医師・看護師が診療及び処置に専念できるようになり効率的に動けるようになりました。ぜひ、訪問診療に事務スタッフの活用をご検討頂きたいと思います。

2.複数の非常勤医師と訪問診療に取り組む際のポイント
私どもは訪問診療の患者数が50人以上になれば一人の医師に業務を集中させないという目的で非常勤医師を雇用して複数医師で訪問診療を取り組むことをお勧めしております。注意して頂きたい事は非常勤医師など複数の医師と訪問診療に取り組む場合、医師同士のコミュニケーション不足で統一した診療ができない事から、患者様やご家族からクレームを受けるケースが多くなる傾向にあります。複数の医師と訪問診療に取り組む場合は、必ずクリニックとしての訪問診療の方針を共有して頂くことをお勧めしています。訪問診療の方針の具体例として「患者様やご家族の心配されていることに傾聴し、可能な限りその場で症状に対する指示・指導、お薬の変更の判断などをその場で完了させる」という訪問診療に関するクリニックの方針を掲げているクライアント様がいらっしゃいます。この方針を掲げた院長先生の意図は「医療の知識がない患者様やご家族の立場になって考えると、患者の症状の変化から何を注意してどう対処していけばいいのか。薬もこれまでどおりで大丈夫なのかがわからないなど対処方法がわからないと必ず不安な気持ちになるので、可能な限り現場で不安を傾聴しその場で指示指導など完了させることで患者様やご家族の安心感を与えることができる」と考え、この方針を掲げ訪問診療に係る医師と共有しているとの事です。

3.訪問診療をマニュアル化しバラつきをなくす
医師の個々の診療スタイルのバラつきをなくすために診療方針を共有するとともに訪問診療マニュアルを作成し訪問診療のクオリティーの一定化に成功しているクリニックの訪問診療マニュアルを一部ご紹介致します。
<訪問前>
・前日に看護師が訪問診療セットの準備を行う。
・当日の訪問人数とスケジュールを確認する。
・本日訪問する患者カルテを確認し服用している薬、検査データなど情報収集を行う。
・同行する看護師申し送り(注意すべき患者さんの情報を確認しておく)。

<訪問中>
・患者カルテや申し送りで得た情報をもとに問診を行う。
・バイタル測定(聴診・血圧・パルスオキシメーター)を行う。
・診療計画にある創傷・褥瘡処置、カテーテル交換などを行う。
・ご家族や介護スタッフなど同席している方に病状の説明を行い薬の変更や継続した観察が処置や観察が必要なときは詳細説明を行う。

<訪問後>
・診察にて得た情報をカルテに記載する。
・他院受診、訪問看護の導入など定期訪問診療以外の訪問・看護が必要な場合は指示する。
・院長が不在で伝えたい時があるときは訪問を担当した看護師へ伝達を行う
・診察結果によって今後の訪問診療計画を見直す(医師同士の意見交換しリスケジュールする)。

患者様やご家族からのクレームを防止するため訪問診療のクオリティーを一定化させる自院の訪問診療マニュアルを作成し運用して頂く事をお勧め致します。

2017年8月10日