医院経営コンサルティング・経営改善支援|大阪・神戸・京都

医院/歯科医院/病院の経営相談・コーチング・コンサルティングを行うMASパートナーズ代表 原聡彦が、日々の経営相談・コーチング・コンサルティング活動を通じて経営の現場から「学んだ事」や「気づいた事」を綴ります。

院内ミーティングを活性化させるポイント①

院外事務長として、医院経営コンサルタントとして、クリニックのクライアント様のミーティングをサポートする機会が増えております。現場のスタッフからは、ミーティングが退屈でつまらないとか、意味がないとか、ミーティングを嫌う言葉をよく耳にします。そこで、今回から2回シリーズで、ミーティングを活性化させるポイントと題してミーティングを活用して経営改善に役立てているクリニックのミーティングのやり方をまとめました。

1.ミーティングの最初にミーティングを盛り上げるイベントを組み込む。
院長の役割としてはミーティングを盛り上げるためのイベントを考え実行することです。最初に場を和ませるような話(アイスブレイク)、スタッフの3分間スピーチ、誕生日のお祝い、月間MVPなど、ミーティングのプロデューサーとしてミーティングを盛り上げれるような仕掛を考え実行し続けることがポイントです。

2.ミーティングの目的を明確する。
事務連絡のみでは朝礼で言えばいいし、五月雨式には議論しても何も決まらない。私どもでは「今日はここまで議論してここまでの結論を出す」というミーティングのゴールイメージをもってミーティングを行う事を提案しています。

3.スタッフ参加型のミーティングを行う。
ミーティングでは、よく院長が1人でお話されているケースやスタッフを吊し上げるなどワンマンライブが繰り返されています。院長はミーティングのプロデューサー及びアドバイザーに徹して頂きたい。例えば、議長、書記などスタッフに役割を持たせてスタッフにミーティング参加してもらう。ミーティングに参加したスタッフは一言発言してもらう、誕生日のスタッフに話をしてもらう、3分間スピーチを行うなど、ミーティングに参加したスタッフ全員が役割をもち発言できるようにミーティングを院長がプロデュースすると、スタッフのほうも当事者意識が芽生え、やがてミーティングが活性化してきます。

クリニックの実情にあうミーティングのやり方をご検討頂く事をお勧め致します。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年3月12日

 

現場の事実があがってこない状況を防ぐためには?

最近、医院経営相談、院外事務長サポート、院長夫人コーチングを日々のサポートを通じて感じることは、現場で起こっている事実があがってこないクリニックが増えていることです。
原因は、部署間の連携が悪い、上司と部下のコミュニケーションがない、部下の意見に聴く耳を持たない上司がいる、上司の対応が部下から見て頼りない(相談してもしょうがないと思われてしまう)などがあげられます。

その結果、どういうことが起こるかというと、「現場で起こっている事実があがらない」「スタッフが院長へ言ってもしょうがないとあきらめている」「重大な機会損失を発生しているが院長、リーダーは気づかない」「インシデントが撲滅される」など、重要な情報が全くあがらなくなります。私は、このような状況にある医療機関(病院、クリニック)を多く見てきました。
このような状況にならないために現場の声を上手にあげているクリニックが実践しているマネジメント手法をお伝えします。

1.部下の意見・報告を承認する。
 報告があがるのが当たり前と思ってはならない。意見・報告した事に対して承認する。

2.部下の相談は親身に応える。
 部下の相談は全力で対応する。それで初めて信頼を得れることを心得ておく。部下の相談内容を忘れるなどはダメ上司の典型例です。

3.はじめは率先垂範で背中を魅せる
 新しい取り組みをする時は必ず自ら率先して取り組むことが最低限必要です。自ら取り組むことなしに部下がついてくることはありえないと心得ておく。

他にもいろんな取り組みはあると思いますが、現場で起こっていることをありのまま報告してもらえるようにするためには、上記1~3を3カ月続けるだけでも部下の変化を実感できることと思います。
ぜひ、チャレンジしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年3月11日

 

スタッフの仕事のやり方を改革した事例

弊社がサポートしたクリニックで受付・事務スタッフの仕事のやり方を改革した事例をお伝え致します。

1.経営診断から明らかになったこと
私どもがスタッフからのインタビューや経営診断した結果、次のような事が明らかになった。

1)このクリニックの仕事のやり方は人に仕事が張り付いていた。その人がいなければ「わからない」「できない」「指示されない」状態になっていた。
2)その人にしかわからない仕事だから「やり方が我流」で10年以上、この部門では業務改善を行えなかった。
3)業務がオープンにされていないから、生産性の高い仕事のやり方かどうか院長や事務長が「判断できない」「指導できない」状況になっていた。
4)やっていることは、記憶と経験という頭の中にあるので「ヌケ・モレ・手持ち」が発生し、そのチェックができない状況にあった。

以上のことが明らかになったため、院長の判断として院内の医療事務業務をすべてオープ
ン化し、標準化し、共有することによって「仕事に人を張り付ける」仕組みに業務の改革を
行いました。

2.「仕事に人を張り付ける」仕組みをつくるための取組み
業務改革を行うにあたり、次のような取り組みを実施致しました。

1) 業務の計画管理の習慣化
① 月間業務計画表・週間業務割当表を導入し仕事に人を張り付ける事を徹底する
② 業務を個人別に毎日に確認する(診察開始前に3分間ミーティングにて個人別の業務を確認する)

2) 業務の抜本的改革への取り組み
① 実現すべき成果は何かを鮮明にする(ゴール明示を徹底した)
② ゴール達成するために業務をすべてリストアップする(業務の棚卸し)
③ 業務のやり方の統一を行う(業務の標準化)

3.取組み成果
抵抗勢力があったものの業務改革を推進するという院長の固い意志がスタッフ一人ひとりに伝わり、上記の取組みを実行した結果、次の成果を得る事ができました。

① 業務割当表による仕事の明示と人の張り付け、標準時間の測定ができ、業務の標準時間を確立することができた。また、業務の遅れなどタイムリーに院長が把握することができるようになった。
② 仕事に人を張り付けることが可能となり業務を計画化することができて業務の精度も向上した。
③ いつも期限ぎりぎりで綱渡りのような仕事のやり方から脱却し計画的に仕事を行うようになった。

4.ゴールの鮮明化がすべての始まり
私は長年のコンサルタントの経験の中で組織のムードを一変させることができる院長に出会ってきました。そして、なぜ、この院長は組織のムードを一変させることができたのかを観察し研究しています。ほとんどすべての場合に共通していたことはスタッフひとりひとりに鮮明なゴールを明示していることに成功要因があることがわかりました。最初のうちは「目標管理を個人にきちんとやらせた成果」と認識しておりましたが、多くの事例を観察していくうちに、成功しているのは目標管理ではなくゴールの設定している院長ということに気づきました。スタッフ一人ひとりに与えるべき事は目標ではなくゴールであることを認識して頂くことがポイントです。ではゴールとは何か?それはほとんど目標と同じ意味なのですが、違う点は「まじめに努力すれば必ず到達できる地点」という事です。目標というのはまじめに努力したからといって必ず到達できるかどうかわからない。しかし、ゴールはほぼ確実に到達できる地点、または状態なのです。ただ、一人ひとりの能力の違うスタッフにゴールを明示するということはそんなに簡単なことではありません。正確にスタッフ一人ひとりの能力を把握することと、綿密な状況分析と業務遂行計画が必要とされます。しかし、スタッフと一人ひとりと時間をかけて話し合い、相互に確認し合いながらゴール設計をすれば十分可能なことでむずかしいことではありません。スタッフ一人ひとりと向き合うことがマネジメントの最重要課題と認識して取り組んでもらえればゴール明示は難しいことではなくなります。ぜひ、チャレンジして頂きたいと思います。最後までお読み頂きありがとうございます。

2018年3月9日

 

短時間通所リハビリテーション開設について

1.要介護被保険者の維持期リハビリの介護保険への完全移行
「要介護被保険者の維持期リハビリの介護保険への完全移行」は2018年度末まで延期は確定的となりました。運動器リハビリテーションの施設基準をもつ整形外科クリニックでは今から1年3カ月ぐらいの間で介護保険(通所リハビリ・訪問リハビリ)を実施できる体制を作る必要があります。今回は、診療所の短時間通所リハビリテーションの開設方法をお伝え致します。

2.みなし指定とは?
健康保険法の保険医療機関・保険薬局(以下「保険医療機関等」といいます。)に指定された医療機関・薬局は、介護保険法による医療系サービスの事業者として、指定をされたものとみなされます。これを「みなし指定」といいます。みなし指定の対象となる医療系居宅・介護予防サービスは、次のとおりです。
<みなし指定となる介護サービス>
 (介護・予防)居宅療養管理指導     (介護・予防)訪問看護 
(介護・予防)訪問リハビリテーション (介護・予防)通所リハビリテーション 

3.みなし指定の通所リハビリテーション開設について
介護保険法が改正された平成21年4月以降に保険医療機関の指定を受けた病院・診療所については、特段の申し出のない限り、通所リハビリテーション事業所及び介護予防通所リハビリテーション事業所の指定を受けたものとみなされています。例えば、兵庫県では平成21年3月以前に県民局長による介護保険法上の事業者指定を受けた通所リハビリテーション事業所・介護予防通所リハビリテーション事業所については、当該指定は更新期間満了まで有効であり、更新の際に医療みなしに切り替えることとなります。
平成21年3月以前に保険医療機関の指定を受けた病院・診療所について新たに通所リハビリテーション事業所及び介護予防通所リハビリテーション事業所の指定を受けようとする場合は、知事にその旨届け出る必要があるので注意が必要です。また、事業所規模及び加算の算定を受けようとする場合は、あらかじめ管轄部署に届けなければならない。
みなし指定であってもサービス提供を行うにあたり、人員基準、設備基準、運営基準等を満たす必要があるので各都道府県の管轄部署に確認して頂く事をお勧め致します。 
通所リハビリテーションの開設自体は申請書類も少ないので人員基準が満たせれば開設は可能です。

4.通所リハビリテーションの人員基準とは?
通所リハビリテーションは、医療系の介護サービスであり、医師の指示の下で行われます。
そのため、介護老人保健施設、病院、診療所のみが運営することが可能です。人員基準において規模によって医師や従事者の配置数の違いがあります。今回は診療所の人員基準に絞って解説致します。
5.診療所が開設する通所リハビリテーションの人員基準
① 医師の配置について
☆利用者の数が同時に10人を超える場合
専任の常勤医師が1名以上勤務していなければいけません。

☆利用者の数が同時に10人以下の場合
専任の医師が1名勤務していなければいけません。
また、利用者数は専任の医師1人に対して48人以下でなければいけません。

② 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、介護職員(以下:従事者)の配置について
☆リハビリ単位ごとに、利用者の数が10人以下の場合
サービス提供時間を通じて、専属で通所リハビリテーションに関わる従事者を1名以上確保しなければいけません。

☆リハビリ単位ごとに利用者の数が10名を超える場合
サービス提供時間を通じて、利用者の数を10で割った数の専属で通所リハビリテーションに関わる従事者 が必要になります。

さらに☆で求めた人員配置数の中でサービス提供時間に専属で通所リハビリテーションに関わる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または、通所リハビリテーションもしくはこれに類するサービスに1年以上従事した経験を持つ看護師を、常勤換算法で0.1人以上確保されていなければいけません。また、利用者の数は専従する従業員1人に対して1単位10名以下とし、1 日2単位を限度としなければなりません。ただし、1~2時間の短時間のリハビリは、0.5単位とみなします。

6.通所リハビリテーションの人員基準を満たす際の注意点
通所リハビリテーションの人員基準では、上記のように細かい人員配置が決まっているので人員配置不足による人員基準違反が起こりやすいことが注意点です。また、1日の利用者数も留意しておきましょう。特に診療所では、医師の数により利用者数が決まっているため注意が必要です。人員基準を満たしていないことが発覚した場合には、事業者指定を取り消されてしまう恐れがあります。
各都道府県が独自に事業者へ提供している通所リハビリテーション運営チェックリストなどを活用して人員基準の違反を起こしていないかを確認頂くことをお勧め致します。

2018年3月7日