今回は、承継開業をご検討されている先生に必ずチェックして頂きたい事項をお伝え致します。
(1)承継開業に際して必ずチェックして頂きたい事項
1.譲渡価格(営業権など)の確認
簡単にいうといくらでクリニックを購入できるのか。譲り渡し側の価格を確認しておくことです。譲渡価格は個人立のクリニックと医療法人のクリニックでは変わってくるので、税理士、コンサルタントなど専門家を交えて確認して頂きたいと思います。
2.簿外債務の有無の確認
簿外債務とは貸借対照表上に記載されていない債務のことです。クリニックにおける代表的な簿外債務は現在勤務している従業員の退職金や、現在契約中の医療機器などのリース契約です。税理士などの専門家を交えて必ず簿外債務の有無の確認をして頂く事をお勧め致します。
3.現在の従業員の雇用条件
従業員の雇用継続の有無を決めるために雇用条件を雇用契約書や労働条件通知書などでご確認頂く事をお勧め致します。退職金の有無を確認し退職金を支払う事になっている従業員を抱えるクリニックを承継する場合は、雇用継続なら承継前までの雇用について払うべき退職金を見積もり、営業権から差し引きなど検討が必要です。
4.医療機器などの承継の有無と動作確認
医療機器、器具備品などの減価償却資産の承継をどうするのか。減価償却資産明細書をもって承継の有無を記載することをお勧めしている。承継する医療機器、レセコンなどは必ず動作確認を行う事(特にエックス線装置を承継する場合は業者に線量の測定を実施する)を必ず実施してもらうようにしています。承継して医療機器などが使えないとなるとどうしょうもありません。
5.空調、ガス、水道の確認
上記4と同じです。承継前に必ず業者に確認してもらうことをお勧めしております。
また、コンサルタントの手数料や業務範囲を確認して期待している事項を実施してもらえるのかをあらかじめご確認ください。
上記の1~5項目は最低チェックすべき事項です。承継後に不具合が発生しても、どうしようもありません。承継前までに専門業者に必ずチェックしてもらうことをお勧めします。
(2)承継開業 検討必要書類
上記(1)のチェックを行うために下記の書類をお求めください。
①決算書・確定申告書3期分
②減価償却資産内訳書 3期分
③勘定科目内訳書・総勘定元帳3期分
④決算届、役員変更届(医療法人を承継する場合)
⑤保健所へ提出した書類控え(診療所開設届など)
⑥厚生局へ提出している書類(保険医療機関指定申請書、診療報酬施設基準など)
⑦直近の経営状況のわかる書類試算表・損益月次推移表、レセコン帳票(保険種別件数表・診療行為別集計表・疾患別件数集計表)
⑧建物賃貸借契約書(テナントの場合)
⑨平面図・内装写真
⑩各種契約書・リース物件一覧
(3)承継する際の留意点
1.個人立のクリニックを承継する場合は保険医療機関の指定にあたり、切れ目の無い診療を行うために各行政官庁と必ず事前相談を実施してください。
2.クリニックの売買価格および賃貸借契約については、可能な限り、公正証書もしくは弁護士を介在させ、リーガルチェックを行い決定事項について書面で残して頂くことをお勧めします。
3.他人との承継を行う前の交渉に当たっては、秘密保持契約を締結する。
(4)承継開業を行う際の情報収集
最近では医療機関専門のM&A専門業者も増えています。M&A専門業者のサポート内容はさまざまで依頼する前には依頼したい事項について事前確認を行い期待している事ができるかどうかを確認したうえで正式に依頼をして頂きたいと思います。
弊社では多くの患者さんから選ばれているクリニックの承継案件のご紹介もさせて頂いております。例えば、大阪府で年商1億円レベルの専門診療科のクリニックなど優良な案件をご紹介しております。医療法人の分院展開をお考えの医療法人の理事長先生、第三者から承継して新規開業を目指したい先生方をサポートしておりますのでご相談ください。
2015年7月16日